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2014.10.3
追悼 勇気と希望の人 ドリス・ドラッカー氏
2014年10月1日、ドリス・ドラッカー氏が103歳の長寿を全うされました。
ドリス氏は、ドラッカーの知的活動のみならず、全人生になくてはならない存在でした。彼女の勇気、想像力、そしてユーモアの精神が、どれほど夫ドラッカーに力を与えてきたことでしょうか。
1930年代ヨーロッパの暗黒時代をともに生き抜き、そして新天地アメリカの土を踏み、さまざまな文物を見聞するなかで、ドラッカーとはまた異なるスタイルで自覚的な生き方を示したのが彼女でした。ドラッカーの初期著作が例外なく妻に捧げられている事実、そしてともに日本画の凝縮的な美に打たれ続けた事実ほどに、ドリス氏がドラッカーの妻であった以上に魂のパートナーであった真実の姿を示すものはありません。
ドラッカー亡き後も、ドリス氏は世界規模での研究・実践活動を支援してくださいました。当会に対しても、繊細な配慮とともに、彼女にしかできない貢献をなしてくださいました。「夫ドラッカーの考えが日本の未来建設の礎たりうることを誇りに思う」とはかつて来日した彼女が語っていたことでした。
一世紀あまりの人生のなかで彼女が残してくれたものは、ドラッカーの業績とともに、私たちが今後探求し、吟味し、未来に受け継ぐべき豊かな価値をあまりに多く含んでいます。
ドラッカーにまさるとも劣らぬ勇気と希望を私たちに残し、天国に旅立たれた彼女に、改めて哀悼と感謝の意を表したいと思います。
ドラッカー学会